事業をしていると、引っ越しをすることもあるでしょう。でも、引っ越しをしたら税務調査は来なくなるって本当ですか?実は、引っ越しをしても、税務署は全国の申告データを把握しているため、税務調査が来なくなるわけではないのです。むしろ、急な引っ越しは税務署から怪しまれ、調査対象になりやすいとも言われています。
税務調査は正直怖いですよね。でも、税務調査の対象になりやすい事業者の特徴を知り、日頃から備えておけば、心配ありません。万が一、引っ越し後に税務調査が来ても、慌てずに適切に対応できるはずです。
この記事では、足立区に特化している税理士の監修のもと、引っ越しと税務調査の関係性から、税務調査を避けるための具体的な方法まで、詳しく解説していきます。税務調査のリスクを最小限に抑え、事業に集中できる環境を整えるためのヒントが満載ですよ。ぜひ最後までお読みください。
引っ越したら税務調査は来なくなる︖事実と対策
引っ越しで税務調査が来なくなるのは誤解
引っ越しをすると税務調査が来なくなるというのは、よくある誤解の一つです。確かに昔は、事業者が引っ越しをすると調査官の引き継ぎがうまくいかず、結果的に税務調査が行われなくなるケースもあったようです。
しかし、現在では国税局のシステムが高度化し、全国の納税者の情報を一元管理できるようになりました。つまり、引っ越しをしたからといって、税務調査を逃れることはできないということです。
むしろ、頻繁に引っ越しを繰り返したり、突然遠方へ移転したりする事業者は、税務署から怪しまれ、調査対象になりやすいとも言えるでしょう。
税務署は全国の申告データを把握
税務署では、全国の事業者の申告データをコンピューターで一元管理しています。たとえ引っ越しをして管轄の税務署が変わったとしても、過去の申告状況などは引き継がれます。
また、2021年7月からは、引っ越し前の税務署の職員が、引っ越し後の住所地で税務調査を行うことも可能になりました。これは、悪質な納税者が引っ越しを繰り返すことで税務調査を妨害することを防ぐ目的で制度化されたものです。
したがって、引っ越しによって税務調査から逃れられると考えるのは、非常に危険だと言えます。申告内容に問題がある場合、引っ越し前の税務署から調査官が来る可能性も十分にあるのです。
急な引っ越しは調査対象になりやすい
事業者が頻繁に引っ越しを繰り返したり、売上が下がったタイミングで突然遠方へ移転したりすると、税務署から「申告逃れをしているのではないか」と疑われやすくなります。
特に、事業の実態がないのに引っ越しを繰り返す場合や、債務整理直後に引っ越す場合などは、税務調査のターゲットになるリスクが高いと言えるでしょう。
事業上の理由で引っ越しをする場合でも、タイミングや引っ越し先、引っ越しの頻度などに注意が必要です。安易な引っ越しは、かえって税務署の疑いの目を引き寄せることになりかねません。
税務調査の対象になりやすい事業者の特徴
申告内容と実際の売上に乖離がある
税務署では、事業者の申告内容と実際の売上に大きな乖離がないかをチェックしています。例えば、売上が急激に減少したり、他の同業者と比べて売上や利益率が極端に低かったりする場合は、税務調査のターゲットになりやすいと言えます。
また、経費の申告額が不自然に大きい場合も、税務署から疑われるリスクが高まります。事業者は、日頃から正確な会計処理を心がけ、申告内容と実態の乖離を防ぐことが大切です。
もし申告内容に問題があると指摘された場合は、素直に認めて修正申告を行うことが賢明でしょう。税務署との信頼関係を損ねないためにも、正直に対応することが何より大切だと言えます。
売上が1,000万円前後で推移
売上が1,000万円前後で推移している事業者は、税務調査の対象になりやすい傾向があります。これは、この売上規模の事業者に申告漏れが多いからだと考えられています。
1,000万円を下回る場合は、消費税の免税事業者となり、税務署のチェックが甘くなるケースもあります。一方、売上が1,000万円を超えると、消費税の課税事業者となり、より厳しい税務チェックが入ります。
そのため、売上を1,000万円以下に抑えるために、意図的に申告額を操作している事業者がいるのではないかと税務署は疑うわけです。売上規模が1,000万円前後の事業者は、普段から税務署の目を意識した適正な申告を心がける必要があるでしょう。
多額の経費を計上
事業者が、売上に対して不自然に多額の経費を計上していると、税務署から経費の詐称を疑われる可能性があります。例えば、売上の半分以上を経費として計上していたり、個人的な支出を経費に混ぜていたりするケースです。
税務署としては、架空経費の計上や、経費の水増しによって所得を圧縮し、税金逃れを図っている事業者がいないかどうかを重点的にチェックしているのです。
事業者は、経費計上のルールをしっかり理解し、正確な会計処理を行うことが求められます。経費の計上額が適正かどうか判断に迷う場合は、税理士などの専門家に相談するのも一つの方法でしょう。
現金取引が多い
現金取引の多い事業者は、税務調査のターゲットになりやすいと言われています。現金取引は、取引の痕跡が残りにくいため、売上の一部を申告せずに脱税するのが容易だからです。
特に、飲食業や小売業など、日々の売上の大部分を現金で受け取る業種は、税務署から注視されています。これらの業種の事業者は、日々の売上を正確に記録し、決算書の内容と実態の乖離がないようにすることが大切です。
また、クレジットカード利用の浸透により、現金取引のウェイトが高い事業者は、不審に思われやすい面もあります。可能な範囲で、クレジットカードや電子マネーの導入を検討するのも一案かもしれません。
新規事業を始めた
新規に事業を始めた事業者は、税務調査の対象になる可能性が高いと言えます。開業間もない事業者は、税務に関する知識や経験が不足しているケースが多く、申告漏れや計算誤りを犯しやすいからです。
また、事業の立ち上げ期は売上が不安定で、赤字になることも珍しくありません。そのため、売上を水増ししたり、架空経費を計上したりして、無理に黒字決算を装う事業者がいるのではないかと税務署は疑うわけです。
新規事業者は、税務署から目を付けられやすいことを認識し、税務面のリテラシーを高めておくことが大切だと言えます。開業時は、確定申告の方法など、基本的な税務手続きをしっかり学んでおきたいものです。税理士など専門家のサポートを受けるのも賢明でしょう。
引っ越し後に税務調査が来たらどう対応すべき︖
新旧両方の税務署とコミュニケーション
引っ越し先で税務調査の通知を受けた場合、まずは新しい管轄の税務署とコミュニケーションを取ることが大切です。同時に、引っ越し元の税務署にも連絡を入れ、情報を共有しておくとよいでしょう。
引っ越し前の税務署の調査官が、引っ越し後の住所で調査を行うケースもあります。その際は、両税務署の連携を円滑にするためにも、事業者側が積極的に情報提供することが求められます。
税務署とのコミュニケーションを密に取ることで、調査のポイントや必要書類などを事前に把握でき、スムーズな調査対応が可能になります。税務署への情報提供は、事業者の協力的な姿勢を示すことにもつながるはずです。
引っ越しの理由を正直に伝える
引っ越し後に税務調査が入った場合、まず疑われるのが、引っ越しの理由です。「本当に事業上の理由での引っ越しなのか」「税務調査を逃れる目的ではないのか」といった点が調査官の関心事となります。
したがって、引っ越しの理由については、正直に説明することが肝心です。事業拡大や縮小、家族の事情など、引っ越しに至った正当な理由を丁寧に述べ、税務署の疑念を払拭することが大切だと言えます。
引っ越し時期についても、税務署から不審に思われないよう、十分な説明が必要でしょう。売上の落ち込みなど、事業状況の変化とタイミングが合っていれば、納得を得やすいはずです。
関連書類を整理しておく
税務調査では、事業者の申告内容の妥当性を確認するために、各種書類のチェックが行われます。引っ越し後の調査では、特に引っ越しに関する書類の提出を求められる可能性が高いと言えます。
引っ越し費用の領収書や、不動産売買・賃貸借契約書など、引っ越しに関連する書類は、あらかじめ整理しておくことが大切です。これらの書類を速やかに提示できれば、税務署に対して引っ越しの正当性をアピールできるはずです。
また、売上や経費に関する帳簿や伝票類も、税務調査に備えて整理しておきたいものです。書類の不備は、経理の杜撰さを疑われる原因になります。普段から書類整理を怠らないことが何より大切だと言えるでしょう。
税理⼠に相談し適切に対応
引っ越し後の税務調査は、納税者にとって大きな負担となります。書類の準備や税務署とのやり取りなど、煩雑な調査対応に追われることになるからです。
そんな時は、税理士など税務の専門家に相談するのが得策だと言えます。税理士は、税務調査の進め方や必要書類などを熟知しているため、調査の初動から適切なアドバイスを行ってくれるはずです。
また、税理士が調査に立ち会うことで、事業者の負担を大幅に軽減できる面もあります。税理士が調査官とのやり取りの多くを肩代わりしてくれるため、事業者は本業に専念しやすくなるわけです。引っ越し後の慌ただしい時期の調査では、なおさら税理士の存在が心強いと言えるでしょう。
税務調査を避けるための⽇頃の備え
きちんとした会計処理と記帳
税務調査のリスクを最小限に抑えるためには、日頃から適切な会計処理と記帳を心がけることが何より大切です。売上や経費は、正確に計上・記録し、帳簿と実態の乖離を防ぐことが求められます。
特に、現金取引の記録は慎重に行う必要があります。日々の売上は、レジスターやPOSシステムできちんと記録し、月次や年次の集計と照合することが理想的です。
また、クレジットカードや電子マネーの利用は、取引の透明性を高める効果も期待できます。現金中心の商習慣を見直し、キャッシュレス決済の導入を検討するのも一案かもしれません。適切な経理処理は、税務リスクの低減につながるはずです。
事業内容に合った適正な申告
税務調査のターゲットになりやすい事業者の特徴として、「業種や規模の割に申告所得が低い」というケースが挙げられます。売上や利益の水準が同業他社と比べて著しく低い場合、税務署から収益の過小申告を疑われる恐れがあります。
事業者には、事業内容や規模に見合った適正な申告が求められます。日頃から同業他社の業績水準を把握し、自社の申告内容の妥当性を確認しておくことが大切だと言えます。
また、売上や利益が大きく変動した場合は、その理由を明確に説明できるよう、証憑書類を整えておくことも重要です。外部環境の変化や事業方針の転換など、合理的な説明ができれば、税務署の疑念を解くことができるはずです。適正な申告は、税務調査のリスクを低減する有効な方法の一つだと言えましょう。
必要に応じて税理⼠に相談
事業者が税務調査に適切に対応するには、税務の専門知識が欠かせません。しかし、多くの事業者にとって、税務は必ずしも得意な分野とは言えないでしょう。特に、法人税や消費税など、複雑な税務処理が求められる分野は、専門家のサポートが心強いはずです。
税務の専門家である税理士は、税務調査の事前対策や当日の立ち会いだけでなく、普段の税務処理についてもアドバイスしてくれます。日々の記帳方法から決算・申告まで、税務全般についてサポートを受けられるのが税理士の強みだと言えます。
税理士に依頼することで、税務処理の適正化を図れるだけでなく、事業者自身の税務リテラシーの向上も期待できます。税務調査のリスクを低減するためにも、必要に応じて税理士に相談することをおすすめしたいものです。
引っ越し時の届出を漏れなく
引っ越しをした際は、税務署への届出を速やかに行うことが大切です。具体的には、個人事業の場合は「個人事業の開廃業等届出書」の提出が必要となります。
この届出を怠ると、税務署から引っ越し前の住所宛てに通知が送られ、スムーズな税務手続きができなくなるリスクがあります。引っ越しの際は、前後の税務署とのコミュニケーションを綿密に取り、届出もれのないよう注意したいものです。
また、個人事業主の方は、事業に関連する官公署への届出も忘れずに行うことが大切です。法人の場合は、登記簿の住所変更や、各種許認可の変更手続きなども必要になります。引っ越しの慌ただしさに紛れて、届出の締め切りを逃さないよう、スケジュール管理を徹底することが求められるでしょう。
以上、税務調査と引っ越しについて、注意点や対策を詳しく見てきました。引っ越しは税務署にとって「怪しい行為」と映るリスクがあることを認識し、適切な税務処理と事前対策を怠らないことが大切だと言えるでしょう。
税務調査は、正直に誠実に対応することが何より重要です。調査官の質問に真摯に答え、必要書類もスムーズに提示する。そうした事業者の姿勢が、税務署との信頼関係を築き、円滑な調査につながるはずです。
税務調査は決して恐れるものではありません。日頃からの備えを怠らず、堂々と調査に臨む。それが税務調査を乗り切るための基本と言えるでしょう。事業者の皆さまには、本記事を参考に、引っ越しと税務調査への対策を万全に整えていただければと思います。
引っ越しと税務調査のまとめ
足立区専門税理士の解説のもと、引っ越しと税務調査の関係性について詳しくご紹介してきました。引っ越しをしたからといって、税務調査が来なくなるわけではありません。むしろ、頻繁な引っ越しや不自然なタイミングでの移転は、税務署から怪しまれるリスクもあるのです。
でも、税務調査を恐れる必要はありません。日頃から適切な会計処理と記帳を心がけ、事業内容に合った申告を行うこと。そして、必要に応じて税理士に相談し、アドバイスを受けることが大切です。引っ越しの際は、届出もれのないよう、税務署とのコミュニケーションを綿密に取りましょう。
| ポイント | 詳細 |
|---|---|
| 引っ越しと税務調査の関係 | 引っ越ししても税務調査は来る可能性あり |
| 調査対象になりやすい事業者 | 申告内容と実態の乖離、多額の経費計上など |
| 引っ越し後の調査への対応 | 新旧税務署とコミュニケーション、関連書類の整理など |
| 日頃の備え | 適切な会計処理と記帳、税理士への相談など |
税務調査は、正直に誠実に対応することが何より大切です。本記事を参考に、税務リスクに備えつつ、事業の成長に専念していただければと思います。

